CEFR  B1・B2レベルの言語活動・能力を考えるプロジェクト

「CEFR  B1・B2レベルの言語活動・能力を考えるプロジェクト」はルーヴァン・カトリック大学日本学科とグルノーブル・スタンダール第三大学日本語学科の共同研究プロジェクトです。このプロジェクトは、CEFRのBレベル(中級)の、汎用性・信頼性のあるカリキュラムの構築を目指しています。下記に、プロジェクトの概要、及び、成果を記します。

プロジェクト代表
グルノーブル・スタンダール第三大学 東伴子
ルーヴァン・カトリック大学 櫻井直子

1.プロジェクトの背景

2001 年に欧州評議会からCommon European Framework of reference for Languages : learning, teaching and assessment が出版されると、その理念に基づき欧州の各言語圏の行政・教育機関でその文脈化が始まった。教育の現場でもCEFRを参照したコース、カリキュラム、評価 などを目指し、文脈化が進められた。それに伴い日本語教育においても、文脈化の試みが進んでいる。その文脈化は、機関単位のもの、コースとして行っているもの、日本語教師が授業・教材作成に取り入れているものと様々な形で進行し、成果も現れている。

しかし、中級レベルにあたるCEFR Bレベルに関しては、まだ研究、実践が少ない。その理由を考えると、初級レベルであるAレベルに比べて、このレベルで学習者に求められる能力を明確に把握し、それに基づいてカリキュラムを構築することが困難であるためである。Bレベルの把握を難しくしている要因として、Bレベルでは言語活動を遂行するために言語能力だけでなく、ストラテジーや各自 の言語経験など様々な能力を活用していること、学習者のスキル別の能力の差が大きくなること、更に、学習者に求められる言語活動の場が拡大し指導項目・語彙・場面の設定がしにくくなることなどが挙げられるであろう。

その結果、各機関でBレベルと設定されて いるコース・教材が、実際は同等レベルとはいえないという危惧が生じてしまっている。その為、Bレベルをより明確に理解し、教育活動へ繋げていくためには、複数の機関の教師が異なる視点から共同で研究をする機会を持ち、このレベルの考 察・分析を行う必要性を感じた。このような背景から、4年間計画で2010年3月このプロジェ クトが発足した。


2.プロジェクトの特徴

この共同研究の活動の特徴は、次の4点である。
  1. 日本語教育経験、日本語研究の立場、所属機関の教育目的など、多様な背景を持つ日本語教師が連携しながらカリキュラムの作成に携わる。
  2. CEFRの理念である「複言語主義」を念頭に置き、常にCEFR原点立ち返り、参照しながら活動する。
  3. CEFRは行動中心アプローチを基本姿勢をしている。そこで、学習者の実際の言語活動に目を向け、カリキュラムへ結びつける。
  4. 言語活動に仲介(口頭・筆記)を加え、受容・産出・やり取りと言語の8活動として考えていること。CEFRも仲介活動の重要性を明示しており、欧州で学習者が日本語を使用する可能性が最も高い場面ではないかと考えている。

3.2010年度活動(2010年3月~2011年3月)

初年度2010年度は、次の3点に関して3回の合同会議を含む計37回の会議が持たれた。
  • B1レベル口頭産出活動の分析
  • カリキュラム作成のための欧州の日本語学習者言語調査のプレアンケートの実施と考察
  • 指導項目を抽出するための「表現文型マップ」作成の着手と絞り活動を行った。

その結果は、次の3点を中心として2011年3月に報告書としてまとめられた。
  • B1レベルの学習者はどう話しているか。
  • 学習者はいつ日本語を話しているか。
  • B1レベルはどんなレベルか
4.2011年度活動(2011年4月~2012年3月)

2年次2011年度は次の活動を行い、2012年3月に報告書としてまとめた。
  • B1レベル筆記産出活動の分析と指導項目の考察
  • 欧州の日本語学習者の言語活動調査の実施と考察
  • カリキュラムの試作
5.2012年度活動計画(2012年4月~2013年3月)
B1学習者の受容活動(読解・聴解)に関してデータの分析と考察
2010年度・2011年度に行った産出活動から指導項目を検討し、表現文型マップの充実を図る
6.プロジェクトメンバー
7.参考
櫻井直子・東伴子(2011)「CEFR Bレベルの言語活動・能力を考えるプロジェクト-―その多面的アプローチとやり取り場面の語彙使用からの考察―」The 13th International Conference of EAJS, August 24-27,2011,Tallinn, Estonia
 
謝辞 : 本プロジェクトは、国際交流基金平成22(2010)年度・平成23(2011)年度さくらネットワークチーム日本語普及活動助成を受けている。
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